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「白髪でも髪質を改善して 個性を生かせば、ステキな大人のカラーリングが可能です」

内田 昇(うちだ・のぼる)

有限会社トムアンドスージーファクトリー 会長  NPO法人全国美容週間第23代実行委員長  NPO法人JHCA 日本ヘアカラー協会 2006 年委員長、2010 年委員長再任
「ステキな大人のヘアカラー」出版企画
(髪書房 2006 年) ICDインターコワフュール(世界美容家協会) 2004日本代表ステージ

私は日本の美容界のヘアカラーをリードするNPO法人「日本ヘアカラー協会」で2006年と2010年に委員長を務めました。この団体はヘアファッションの向上によってより美しく輝かしく人生を楽しむという価値観を広めるために、ヘアカラー技術の向上や技術者の養成を行っている団体です。また、同協会にて「ステキな大人のヘアカラー」(髪書房2006年)を出版企画。その中で、グレイ世代(白髪に悩む世代)に満足していただくためのカラーリングテクニックやデザインをご紹介しました。どの場面においても「白髪」をどのように「ステキ」にするか、それが重要なテーマでした。

今は、アンチエイジングに代わって「アクティブ・エイジング」という用語が使われるようになってきました。年齢に逆らうのではなく、美しく健康的に年を重ねることが魅力的だという意識の現れです。たとえば、歳の女性が白髪が一本もないまっ黒な髪だったらどうでしょう?不自然には映りませんか?髪は単に黒ければよい、そういうことではないのです。白髪染めにおいて、年代頃には日本のヘアカラーは欧米諸国と比べて年ほど遅れていると言われていました。白髪を黒でベタ塗りするという方法、それが不自然さを作っていたのです。  2006年、代の方がヘアカラーをする場合に自宅で染めるのではなく美容室で染める人の割合は%未満でした。それが2018年には%へと増加したのです。私は2006年から「ステキな大人のヘアカラー」を5年間提唱し続けました。

時代の先を見据えて、新しい技術の導入、指導、啓蒙を行ってきました。その結果、高い技術のある美容室で、ただ白髪を染めて隠すのではなく「白髪を生かしてよりステキに染めたい」という意識の女性が増えたのです。これは大きな進歩といえます。

たとえば、欧米では常識のホイルワークという技術は、アルミホイルを使って髪の色の塗り分けをすることで、立体感や動きを出すことのできるカラーリング技術です。日本でもいま、この技術を使う美容室が増えてきています。このような技術が日本の美容業界に浸透することで、代以上の女性が髪に自信を取り戻し、より生き生きと活躍しておられることをうれしく思います。

カラーリングにおいては、「髪質」が実は重要です。白髪はパサパサでうねっているときれいに染まらないのです。かたや、髪にハリやコシがあればカラーリングの仕上がりに艶感が増して、ふんわりした印象を作ることができます。また、一部分だけでも白髪が黒くなれば、染めた時に立体感や動きが出て、より自然な仕上がりになるのです。ステキな大人の髪に仕上げるために美容師はデザインを提案し、技術を駆使します。

ただし、内側から細胞を再生して、髪を健康に保つかどうかはお客様ご自身にかかっていると思います。「ステキな大人」の主役はお客様ご自身なのです。

髪が白髪もなく黒くて艶があれば、もちろん美しい。とは言え、何も手入れしなくても髪を美しく保てるのは、実際は20代くらいまでではないでしょうか。個人差はあれど、代で白髪が出てくるのは普通のことなのですから、焦らず白髪をステキに染めてみていただきたいと思います。皆が皆同じ髪色に染めていたら、個性がなくなってしまいます。ひとりひとりのお肌や表情に合わせたパーソナルなカラーリングをしていただきたいのです。

美容師もそんなデザインを提供できるよう、日々勉強し技術を磨いています。