善玉菌がアレルギーを抑えてくれている
07.30.2021
最新の研究で、腸管の細胞に取り込まれた「酪酸」が、免疫システムをコントロールする「制御性T細胞」の生成に関わっていることが明らかになりました。ヒトの免疫機能には「細胞性免疫」と「液性免疫」の二種類があります。このうち細胞性免疫はウイルスや細菌などの病原体や、感染細胞やがん細胞などの異常をきたした細胞を、免疫細胞が直接攻撃する反応です。一方、液性免疫は体内に侵入した寄生虫や花粉などの異物上の目印である抗原に対応する抗体を作り、この抗原と抗体が結合することで異物を中和して無毒化したり、抗原に結合した抗体がマクロファージやナチュラルキラー細胞などの免疫細胞と結合し、それらの細胞の力を借りて異物を排除するという反応です。
ところが、しばしば免疫システムが混乱してしまうことがあり、無害な物質に対しても過剰な反応を誘発したり、自分の体の正常な組織や細胞までも異物と誤認して攻撃してしまったりして、炎症や痛みなどを引き起こします。これがアトピー性皮膚炎などのアレルギーや関節リウマチなどの自己免疫疾患です。 こうした免疫機能の過剰反応を抑えてくれるという重要な働きをするのが制御性T細胞です。そして今、酪酸が免疫バランスを司る制御性T細胞の生成に関わっていることが解明されたことで、酪酸を生産する善玉菌が免疫機能に重要な役割を果たしていることが科学的に証明されたのです。